測定設計原則
高校生向けのやさしい解説
「信頼を測りたい」と思っても、本人に「あなたは信頼していますか?」と聞くだけだと、「信頼があるから信頼がある」のような堂々巡りになってしまいます。このページは、その堂々巡りを避けるために、行動の観察・体の反応・長期の記録などをセットで使って、信頼の「ある/ない」を取り出せるようにする設計の原則を4つにまとめています。
定義
信頼で提案された H08 二成分モデルおよび循環モデルを操作化するための概念的測定設計(Conceptual Measurement Design)。4つの設計原則(P1-P4)から成る。理論の操作化可能性を示すことが目的であり、実験プロトコルの策定ではない。本プロジェクトは N=1 の現象学的探索であり、集団研究の実施は現時点でスコープ外。
REVIEW-004 の採用洞察4件を正典化したもの。
理論的背景
H08 二成分モデル(Session 18 案A)を前提とする。H08.bs(Stock、構造資本)と H08.pl(Flow、短期的起動状態)という区別を、同一の神経回路に対する異なる時間窓の測定として操作化する。また、循環定義(「信頼があるから信頼できる」)の回避が設計上の中心課題であり、代理変数による辺の実装で循環を断ち切る。
4つの設計原則
P1: 異種データ三点固定(Triangulation Principle)
循環定義回避のため、各ループ辺は最低3種の異種データ(行動/観察、生理/回復、表象/縦断)で固定する。主観評定のみでは「信頼感と信頼」の循環に戻るため、観察 x 生理 x 表象の組み合わせにより辺の因果を計測設計として閉じる。
P2: 同一回路・二時間窓(Same Circuit, Dual Timescale)
H08.bs と H08.pl は同一の神経回路(vmPFC-扁桃体系)に対し、異なる時間窓の測定を当てる。bs は年単位の構造指標(DTI等)と縦断表象(AAI/SBK、愛着理論由来)、pl は場面単位の課題中機能結合・自律神経・EMA で測定する。別回路で測ると別の構成概念を測る可能性が生じるため、概念の一貫性を保つ。
P3: bs=Stock, pl=Flow(BSPL メタファ接続)
H08 の二成分は統計的には trait-state だが、概念的には Stock-Flow として扱う。「trait は変わらない」「state は気分」という誤読を防ぐための命名規約。信頼の会計メタファ(CN-006 4節)の延長線上にある。
P4: H13 の辺実装(Repair Event as Edge Proxy)
H13(修復可能性)を概念として置くと循環定義になるため、repair event 頻度・成功率・速度(latency)という代理変数として辺に実装する。「信頼は修復可能性に基づく/修復可能性は信頼に基づく」の循環を断ち切る。
他の概念との関係
- 信頼 — H08 二成分モデルおよび H13 の出典
- 信頼 — 状態軸(H08.bs/H08.pl)および会計メタファの分析フレームワーク
- PDブリッジ保持論点 — 測定設計の具体化に際して保持すべき横断的問い
- 抱持 — P4 の修復可能性と抱持機能の関連。抱持の独自プロトコル可能性は未決論点
- 内受容感覚 — L0(interoception)から L1 を経て H08 に至る経路の測定設計は未決
未決論点
- L0(interoception)から H08 への経路の測定設計補完
- 生存軸処理の代理変数(回避行動、過剰統制等)
- 抱持課題の独自プロトコル可能性
- ループ辺の双方向性(受け手から提供者へのフィードバック)
ソース参照
knowledge/concepts/CN-007_iss42-measurement-design-principles.md