価値の人類学的理論に向けて

高校生向けのやさしい解説

「価値」という言葉は経済学では値段、社会学では道徳、言語学では意味の差異を指します。グレーバーはこの3つの「価値」が実はバラバラではなく、人間の行為(action)を通じてつながっていると論じました。

概要

David Graeber (2001) は「価値」概念の3つの学術伝統を整理した:

  1. 社会学的伝統(デュルケーム系): 価値 = 善・美・望ましさに関する社会的信念
  2. 経済学的伝統(マルクス系): 価値 = 財の交換を可能にする労働の結晶
  3. 言語学的伝統(ソシュール系): 価値 = 差異の体系における相対的位置

グレーバーはマルクスの「抽象的人間労働」概念を拡張し、価値は人間の創造的行為(action)の重要性に関する社会的評価であるとする統合的定義を提案した。

書誌情報

  • 著者: Graeber, David
  • タイトル: Toward an Anthropological Theory of Value: The False Coin of Our Own Dreams
  • 出版社: Palgrave Macmillan
  • : 2001

PD との接続

PD の「5つの問題系」は、グレーバーの3伝統整理を参照しつつ「意味」と「象徴」を独立させた拡張と見なせる。「価値は行為を通じて立ち上がる」というグレーバーの主張は、PD の Doing 原理(プロジェクトは「やること」を含む出来事)と共鳴する。