信頼の構造

高校生向けのやさしい解説

「日本人は信頼し合っている」とよく言われますが、山岸俊男はそれに疑問を投げかけました。日本社会の「信頼っぽいもの」の多くは、実は制度や監視によって裏切りが不可能になっている「安心」であり、本当の「信頼」(裏切りの可能性がある中で相手の善意を期待すること)とは質的に違うというのです。

概要

山岸俊男 (1998) は進化ゲーム理論の枠組みから、安心(assurance)信頼(trust) の質的区別を提唱した。安心は制度や監視により裏切りが不可能な状態であり、信頼は裏切りの可能性がある中で相手の善意を期待すること。両者は質的に異なる。

日本社会は「安心社会」であり「信頼社会」ではないと論じ、高信頼社会 vs 低信頼社会の単純な二分法を批判した。社会的不確実性が高い環境でこそ信頼が進化的に有利になるという逆説的知見を示した。

書誌情報

  • 著者: 山岸俊男
  • タイトル: 信頼の構造: こころと社会の進化ゲーム
  • 出版社: 東京大学出版会
  • : 1998

PD との接続

山岸の安心/信頼区別は、PD の外部 Container(L1-L2、制度的保証)とネガティブケイパビリティ(L2-L3、不確実性の保持)の区別に共鳴する。H08 中心モデルにおける「誤差を信頼軸にルーティングする」ことは、安心ではなく信頼の領域での操作を意味する。