結局それほど違わない

高校生向けのやさしい解説

心理学者と経済学者と社会学者に「信頼って何?」と聞くと、みんな違うことを言います。でもルソーたちが比べてみたら、「傷つくかもしれないのに相手に委ねる」という核心部分は実はどの分野でも共通していた——というのがこの論文の発見です。

概要

Rousseau, Sitkin, Burt, & Camerer (1998) は Academy of Management Review の信頼特集号で、心理学・社会学・経済学・政治学における信頼の定義を領域横断的にレビューした。

結論として「信頼とは、他者の意図や行動に対する肯定的期待に基づいて、脆弱性を受け入れようとする心理状態」という共通定義を提案。分野間の差異は「何を前景化するか」の違いであり、脆弱性・期待・依存・不確実性という共通核は共有されている。

書誌情報

  • 著者: Rousseau, Denise M.; Sitkin, Sim B.; Burt, Ronald S.; Camerer, Colin
  • タイトル: Not So Different After All: A Cross-Discipline View of Trust
  • 雑誌: Academy of Management Review, 23(3), 393-404
  • : 1998
  • DOI: https://doi.org/10.5465/AMR.1998.926617

PD との接続

PD の「群盲象」アプローチ(複数の仮説を並置して全体像を浮かび上がらせる)は、Rousseau et al. の領域横断レビューの方法論を信頼の内部構造分析に転用したものと言える。共通核としての「脆弱性の受容」は、ベイアーの vulnerability account と合流し、PD の抱持概念に接続する。