社会分業論 / De la division du travail social

高校生向けのやさしい解説

社会学の祖の一人デュルケームが書いた古典。昔の村では「みんなが似ていること」が人々を結びつけていたのに対し、現代社会では「みんなが違っていて、お互い頼り合うこと」で結びついている、と分析しました。医者と農家とプログラマーが支え合うように、分業は単なる効率化ではなく、人と人を有機的につなぐ新しい絆を生む——という見方を提示した本です。

概要

本書はエミール・デュルケームが1893年に発表した社会学の基本文献である。デュルケームはパリ大学教授として「社会分業は単なる経済的効率化の手段ではなく、社会的連帯を生み出す道徳的機能を持つ」という命題を論じた。分業が進んだ社会では、成員が互いの差異に依存することで有機的な結合が生まれるとし、これを「有機的連帯」と呼んだ。一方で伝統的な社会では、成員の同質性に基づく「機械的連帯」が社会を支えていたとする。第2版(1902年)の序文では、経済生活における道徳的規制の欠如(アノミー)という概念も展開されている。

主要概念

機械的連帯(solidarite mecanique) 伝統的・単純な社会において、成員の同質性と類似性に基づいて形成される連帯。集合的意識が強く、個人は集団に吸収された状態にある。刑事法(抑圧的制裁)がこの連帯の指標とされる。

有機的連帯(solidarite organique) 分業が発達した近代社会において、成員の差異と専門化への相互依存に基づく連帯。個人は分化した機能を担いながらも全体の中で結合する。民事法(回復的制裁)がこの連帯の指標とされる。

アノミー(anomie) 道徳的規制・規範が失われた状態。経済生活や職業生活において制度的規律が欠如すると、社会的結合が弱まりアノミーが生じる。第2版序文では、職業的グループ(中間集団)の再建がアノミー克服の鍵として論じられている。

集合的意識(conscience collective) 社会全体に共有される信念・感情の総体。機械的連帯においては集合的意識が個人を強く拘束するが、分業の進展とともに個人的意識の領域が拡大する。

社会的形態学 社会の規模、人口密度、コミュニケーションの密度(「道徳的密度」)が分業の発展を規定するという観点。物理的近接性だけでなく、相互作用の強度が社会変容の駆動力とされる。

書誌情報

  • 著者: Emile Durkheim
  • 年: 1893(初版)/ 1902(第2版)/ 1922(第4版)
  • 出典: Librairie Felix Alcan, Paris(第4版はInternet Archive収録)
  • access_status: raw-confirmed
  • 全文: Internet Archive