ICH Q10 医薬品品質システムガイドライン

高校生向けのやさしい解説

薬を研究・開発から製造・販売終了まで一貫して高品質に保つための国際ルール(2008年)です。工場の製造ラインだけでなく、新薬の開発段階から積み上げた知識をずっと活かし続ける仕組みを世界共通で作ろうというガイドラインで、日本・欧州・米国など主要国の規制機関が合意しています。問題が起きたときに原因をさかのぼって直す「CAPA」という考え方もここで定められています。

概要

ICH Q10は、医薬品産業における効果的な品質マネジメントシステム(Pharmaceutical Quality System: PQS)の包括的モデルを定義したガイドラインである(2008年6月承認)。ISO品質概念、GMPとの整合性を保ちながら、ICH Q8(医薬品開発)およびICH Q9(品質リスク管理)を補完する。製品開発・技術移転・商業製造・製品廃止という全ライフサイクルを通じた品質システムの構築を目指し、イノベーションと継続的改善を促進するとともに、医薬品開発と製造活動の連携を強化することを目的とする。

主要概念

ICH Q10 の3つの目標

目標内容
製品実現(Product Realisation)患者のニーズを満たす高品質製品を設計・開発・製造する
管理状態の確立・維持(State of Control)プロセスパフォーマンスと製品品質をモニタリングし制御状態を維持する
継続的改善(Continual Improvement)プロセス品質・製品品質・PQS全体を継続的に改善する

2つの実現手段(Enablers)

  • ナレッジマネジメント(Knowledge Management): 製品・プロセスに関する知識を体系的に収集・分析・共有・活用する仕組み
  • 品質リスク管理(Quality Risk Management): ICH Q9に基づくリスク評価・管理のプロセス。両実現手段は全ライフサイクルを通じて適用される

4つのPQSの要素

要素内容
プロセスパフォーマンス・製品品質モニタリングシステムデータ収集・傾向分析・変動の検出
CAPA(是正・予防措置)システム問題の根本原因分析と再発防止
変更管理システム変更の評価・承認・実施・レビュー
プロセスパフォーマンスと製品品質のマネジメントレビュー経営層による定期的なPQSの評価

ライフサイクルステージとPQSの適用

各ステージ(医薬品開発・技術移転・商業製造・製品廃止)でPQSの要素を適切かつ比例的に適用することが求められる。開発段階で得られた知識が製造段階へ確実に引き継がれる仕組み(技術移転)が明示的に位置づけられている。

マネジメントの役割

上位経営層のコミットメント、品質方針の設定、資源管理、外部委託活動の管理など、品質システムを維持するための組織的責任が詳述されている。

書誌情報

  • 著者: ICH Expert Working Group(国際製薬技術調和会議)
  • 年: 2008
  • 出典: ICH Harmonised Tripartite Guideline Q10
  • access_status: raw-confirmed
  • 公式URL: ICH Q10