アレルゲン免疫療法の新治療戦略

高校生向けのやさしい解説

花粉症や食物アレルギーを根本から治す「アレルゲン免疫療法」の問題点と新しい改善策をまとめた2014年のレビューです。今の治療は3〜5年かかる上に副作用のリスクもあるため、より安全で短期間で終わる方法——たとえばアレルゲンを小さなかけらに分けたり、リンパ節に直接注射したりする方法——が研究されていることを解説しています。

概要

アレルゲン特異的免疫療法(SIT)は、アレルギー疾患に対する唯一の根治的・特異的治療法であり、先進国人口の20〜30%が罹患するアレルギーに対して100年以上実施されてきた。しかし、副作用(アナフィラキシーを含む生命危険な全身反応)、新たなIgE感作のリスク、治療期間の長さ(3〜5年)に伴う患者アドヒアランスの低下と高コスト、という複数の問題が依然として未解決である。本レビューは、これらの問題を克服するために開発された複数の新規ワクチン戦略の分類と現状を整理する。

主要概念

SIT の作用機序

  • Tセル寛容の誘導が主要な作用機序のひとつ。制御性T細胞(Treg)の増加と、IgG4産生形質細胞への分化が観察される
  • IL-10はBおよびTリンパ球の両方から産生され、IgG4産生に必須とされる
  • 治療開始から3か月以内に制御性B細胞(Breg細胞)が増加する

新規ワクチン開発アプローチの分類

アプローチ主要技術現状
IgE結合回避・Tセル標的化アレルゲン断片・融合・ハイブリッド・キメラ、ペプチド免疫療法、未折畳み型組換えアレルゲン臨床試験段階
組換えアレルゲンによる天然エキス再構成複数組換えアレルゲンの混合臨床試験で効果確認
アジュバント結合アレルゲンCpGオリゴヌクレオチド結合、ウイルス様粒子結合、MPL配合一部臨床段階
新規投与経路リンパ節内、舌下、経皮開発中

リンパ節内投与(ILIT)

皮下投与と比較して少ない回数で高い効果が期待される。皮下免疫療法の場合3〜5年の期間を大幅に短縮できる可能性がある。

ペプチド免疫療法

IgEが結合しない線状T細胞エピトープペプチドを使用し、アナフィラキシーリスクなしにより高用量を投与できる。ネコやミツバチ毒アレルギーで臨床試験が実施されている。

書誌情報

  • 著者: Mubeccel Akdis
  • 年: 2014
  • 出典: World Allergy Organization Journal, 7:23
  • access_status: raw-confirmed
  • DOI: 10.1016/j.jaci.2013.09.034