有糸分裂細胞の起源

高校生向けのやさしい解説

私たちの細胞の中には「ミトコンドリア」という小器官があり、エネルギーを作り出しています。リン・セーガンはこのミトコンドリアがもともと独立した細菌だったものが、別の細胞に取り込まれて共生関係になったと提唱しました。別の生き物同士が「合体して一つの細胞」になることで、複雑な生命が生まれたという大胆な仮説は、現在では分子レベルの証拠で裏付けられています。

概要

リン・セーガン(後のリン・マーギュリス)が1967年に発表した論文。ミトコンドリア、光合成色素体(葉緑体)、鞭毛の(9+2)構造を持つ基底小体という三つのオルガネラが、それぞれかつて自由生活していた原核生物に由来するという「連続共生説」を包括的に提示した。嫌気性大気下での光合成・呼吸代謝の進化から出発し、酸化大気への移行期に生じた共生的取り込みの連鎖が真核細胞を生み出したと論じる。細胞学・生化学・化石記録による証拠を統合し、分子生物学的検証の可能性を指摘した。

主要概念

原核細胞から真核細胞への不連続

現生生物の中で最大の進化的不連続は原核細胞と真核細胞の間にある。セーガンはこの断絶を、自由生活原核生物の段階的共生的取り込みによって説明した。

プロトミトコンドリア:酸素呼吸の共生的起源

好気性原核細胞が嫌気性アメーバ様細胞に取り込まれ、義務的共生関係となったことで最初の有糸分裂しない好気性アメーバが生まれた。このミトコンドリア前駆体が細胞内エネルギー代謝の効率を劇的に高めた。

鞭毛・有糸分裂の共生的起源

運動性の高い原核生物(スピロヘータ様)が取り込まれ、(9+2)繊維構造を形成したことで鞭毛が生まれた。この内共生体の核酸が染色体の動原体や中心体の前駆体となり、古典的な有糸分裂装置の進化を引き起こした。

葉緑体の光合成的共生

光合成原核生物(プロトプラスチド)がアメーバ鞭毛虫に共生的に獲得され、真核藻類・緑色植物が生まれた。

系統樹の再構成

真核生物の有糸分裂様式の多様性(細胞外分裂中心型、細胞内分裂中心型など)を基に、原始真核生物の系統樹を提示した。

書誌情報

  • 著者: Lynn Sagan
  • 年: 1967
  • 出典: Journal of Theoretical Biology, 14, 225-274
  • access_status: raw-confirmed
  • DOI: 10.1016/S0022-5193(67)80274-8